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2026-06-21 (日) · 21:40

りょうや テキスト
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初めての父の日

初めての父の日だった。

画面越しに届いたのは、1枚の色紙に8枚の切り抜き写真と、色違いの左右の小さな足形。そこには「Happy Father's Day」と文字が添えられていた。まだまだ小さくて、だけどまたいつの間にか少し大きくなってしまった、千景の足。

文字通り初めて迎える「父の日」だ。 これまでの人生、この日は完全に無関係なものだった。父親がいない環境で育った僕にとって、気にとめる必要すらない、ただの1日。極端に言えば、6月21日が父の日であるということすら、これまでの僕は知らずに生きてきた。

0歳1ヶ月の千景が作ってくれた(もちろん、実際にはICLの手術日でもあるマコが裏で準備してくれたのだろう)それは、言ってしまえばただの紙と、ただの写真だ。

それなのに、胸の奥がじんわりと熱くなるのを感じていた。なんとなく、自分の中に「父親」としての自覚が、これまでになく強く根を張ったような気がする。

冗談混じりで「はぁ、アフリカの僻地で家族のために、単身で出稼ぎに来て父親は何て、、、」とか話していた。 これまでは、家族なんて関係なく、ただ自分の好きな場所を選び、自分のために自由にやってきた仕事だった。だけどその色紙を見た瞬間、改めて意味が変わったように感じる。僕の仕事が、足跡は、これから「家族のため」という理由に収束していくのだと、そんな予感がした。

映画やドラマのなかで、男たちが決り文句のように口にする「家族のために」という言葉。なんとなくだけど現実味がなく、どこか薄っぺらい、ありがちなフィクションの台詞として聞き流していたことに気づいた

けれど今、その言葉はもう、どこかの誰かのありふれたストーリーではなく、荒井遼也の、血の通った人生になった。

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